何のために利益なのかハッキリさせる。「売上」でなく「利益」から経営計画を立ててみましょう

経営計画や次年度予算を、何となく5〜10%アップとして作っていませんか?

目指す利益に根拠がなく惰性で行っていては意味がないため、注意が必要です。

※ウブドの田園風景

 

目次

事業継続のため必要な利益は?

あなたの会社が継続するために必要な最低限の利益はいくらでしょうか?

赤字でなければ大丈夫なんじゃないの?っと思っている社長も多いでしょう。

しかし実際赤字でなくギリギリ利益が出るくらいだと、借入金の返済分だけ確実に現預金残高が減っていきます。

この状態が続くとやがて資金がショートしてしまい、倒産の憂き目にあってしまいます。

では借金を返済するためには、いくらの利益が必要なのでしょうか?

例えば、年間1,000万円の返済があり、年間100万円の減価償却がある会社を例にざっくり見てみると、以下のようになります。

減価償却費はお金の支出がなく費用になりますので、1,000万円がら100万円を引いた900万円を、稼いだ利益で返済することになります。

ここで注意が必要なのは、利益には税金が課せられるため、利益の全部を返済に当てることはできないことです。

したがって返済額の残り900万円は ”税引後利益” となりますので、これを法人税率(40%と仮定)で割り戻すと ”税引前利益” が1,500万円と出ます。

つまり借入金を年間1,000万円返済するのに、税引前利益は1,500万円必要となり、それを下回るとお金が減ってしまうということになります。

会社を継続させるためにはお金を減らさないことが重要です。

利益をお金の増減の関係性を意識しながら経営計画を進めていくことが必要です。

 

「利益」から「売上」の流れを図で考えてみる

上記の具体例は、お金を減らさない最低限の利益を計算するものですので、次は上記の事例にプラスして新規事業のために5,000万円の融資を受けたい場合を考えてみます。

上手く利益のレバレッジ効果を活用しますと、税引前利益の約5倍のお金を借りることができます。

ということは、上記の事例に加えてあと1,000万円(5,000万円÷5)税引前利益を増やせば、新たに5,000万円の資金調達をすることが可能になります。

ここではイメージをつかむことが大切なので、数字はざっくりとしたもので考えてみましょう。

“固定費” については、まだ予算が決まっていないのであれば、前年の実績値を使います。

ここではざっくりと計算するため、売上と連動する「仕入」や「外注費」は ”変動費” とし、それ以外は “固定費” とし、計算してみましょう。

上記シミュレーションによると、2,500万円の税引前利益をあげるためには、粗利益で4億円を稼ぐ必要があります。

そして粗利益が25%の事業であれば、16億円の売上をあげることが目標と分かります。

売上はこれくらいが目標で経費をこれだけ使う予定だから、結果として利益はこれだけになりそう、ではなく、上記のように「利益」という土台をしっかり固めた上で目標とする売上を目指す。

もちろん経営計画を詳細に立てていく場合には、もっと細かい数字も詰めていく必要がありますが、目標とする利益は変わりません。

売上から経営計画を立てていた経営者の方も、一度、利益から経営計画を立ててみてはいかがでしょうか。

 

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【編集後記】
ヤマトホールディングスが発表した第1四半期(2017年4~6月期)の連結決算は、営業損益が100億円の赤字となったとのことです。

前年同時期の営業損益が74億3300万円の黒字だったことを考えると、今回の「働き方改革」の影響がかなり大きいものとなったようです。

個人的にはヤマトの「働き方改革」は非常に素晴らしい取り組みであると思っています。

現在の日本の宅配サービスはネット通販や個人間売買サイトの競争の煽りを受けて、低価格競争が激化し、そして過剰なほどのサービスが提供されています。

不思議なことに技術は進歩しているにも関わらず、その進歩により以前より苦しい働き方をしている人が増えているのが現実です。

誰かが楽をしていと思えばそこにビジネスが生まれます。

しかしそのビジネスが人類にとって有益なものであるかどうかが分かりません。

楽をすることで生命力が減退してしまうことを考えると、むしろ哺乳類としては退化してしまっているのかもしれません。

今回のヤマトの改革は、(社内でも一悶着あったとは思いますが)社員のことを第一に考えた結果の行動だと思います。

お金の獲得だけを会社の目的にしないこういった取り組みが、日本の中でどんどん広がっていくことを願っています。

 

【週末の心・技・体】
心:読書(強いチームはオフィスを捨てる: 37シグナルズが考える「働き方革命」/ジェイソン・フリード,デイヴィッド・ハイネマイヤー・ハンソン
技:なし
体:税理士会野球部の試合@大宮健保

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この記事を書いた人

1978年9月 茨城県水戸市生まれ、埼玉県春日部市育ち。
東京都渋谷区在住。愛犬は4歳、娘2歳。
趣味は、野球(毎週日曜日)、愛犬の散歩。

雇われない・雇わない生き方である「ひとり税理士」として活動しています。

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