『繰越欠損金』をイメージで表すと、「黒字分 ー 過去の赤字分 = 節税」といったところでしょうか。
事業を始めたばかりの方にとって『繰越欠損金』という言葉は、あまり馴染みがないかもしれません。
しかし、一人経営者やフリーランスが増えることが見込まれる日本。
一人一人がこういった小さな力(知識)をつけることが必要となってきます。
※成田空港にて
繰越欠損金とは
始めにお伝えした『繰越欠損金』のイメージである「黒字分 ー 過去の赤字分 = 節税」。
簡単な全体像は下記の通りとなります。
- 赤字決算となった
- 次の年は黒字となった
- ❷の黒字から❶の赤字を差引いた
- ❸によって納付する税金が少なくなった(=節税)
※「決算書上の赤字額や黒字額」と「税金計算上の損失や所得」は若干相違する場合がありますが、今回は馴染みのある「赤字」・「黒字」と表現をさせて頂きます。
簡単に図で表すと、次のようになります。
個人の繰越欠損金
個人事業主(事業所得のみの個人を前提とします)の場合のポイントは、次の3点となります。
- 青色申告であること
- 確定申告(損失申告)をすること
- 3年間の繰越しが可能
※ここでは法人との比較上、「事業所得のみを有する個人事業主」を前提としております
が、正確に言うと他の所得を有する場合は、“事業所得、不動産所得、譲渡所得、山林所得の損益通算においても控除が残った場合”(純損失金額)においてのみ、赤字を繰り越せることになります。
法人の繰越欠損金
法人の場合のポイントは、次の3点となります。
- 青色申告であること
- 確定申告をすること
- 最大10年間の繰越しが可能
※ここでは当ブログの対象であろう中小企業(資本金1億円以下)の取り扱いを記述しております。
中小企業以外(資本金1億円以上、大企業に支配)については、黒字から差し引く金額に制限が設けられております。
なお、上記で ”最大10年間” とありますが、これは過去の税制改正を経て、その度繰越年度が伸びていった結果となります。
- 平成16年以前…繰越期間5年
- 平成16年度税制改正…繰越期間7年
- 平成23年度税制改正…繰越期間9年
- 平成27年度税制改正…繰越期間10年
- 平成28年度税制改正…繰越期間10年(平成30年4月1日以後開始事業年度からの適用と変更)
まとめ
個人と法人の繰越期間を、図でざっくりまとめると次のようになります。
新規事業の立ち上げは、個人、法人に関わらず、初年度はなかなか黒字にならないケースが多いのも現実です。
これから事業を始めようと考えている方は、上記の繰越欠損金のことも考慮し、個人として事業を始めるか、会社を設立して事業を始めるか、その材料の一つとして頭の片隅に入れておいてもらえれば、と思います。
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【編集後記】
先日バンコクに行ったのですが、相変わらずのタクシーの対応にあんぐり…。
(1台目)
山重タクシー止める
運ちゃん 「スワンナプーム?」※スワンナプームとは空港のこと
山重 「ノー、〇〇ホテル」
運ちゃん 「….。」
運ちゃん、無言で立ち去る…(舌打ち気味で加速発信)
(2台目)
山重タクシー止める
山重「〇〇ホテル、プリーズ」
運ちゃん 「…….。」
運ちゃん荷物詰め込む
運ちゃん 「100バーツネ」※約400円弱。メーターなら40バーツほど。
山重 「?、メーター?」
運ちゃん 「100バーツネ」
山重 「メーター、OK?」
運ちゃん 「100バーツネ」
山重 「(荷物積まれちゃったし)…。OK…。」
多少近めの距離は拒否されることが多いのは分かっていましたが、東南アジア行くたび、日本のタクシーの誠実さが際立ちます。
旅行客が感じるその国のイメージは、私たち一人一人の行動が大きく影響しているのだと、身の引き締める思いも強く湧きました。