会社は閉じるのも大変!解散から清算までの税務のまとめ

いざ会社を設立してみたが、利益が出ないことによる業績の悪化、若しくは後継者がいないなど、会社を存続させていくことが困難になるケースが多々があります。

会社は存続しているだけで確定申告や登記などの諸手続が生じ、また、税金や登記費用などお金の流出が生じてきます。

そんな時は、会社を閉じることも視野に入れることになりますが、会社を閉じるためには会社設立時と同じくらい、若しくはそれ以上の労力が必要になることもあるので、手続上の準備に加えて、心の準備も必要です。

ここでは一般的に多い事由である「株主総会の決議による解散」による税務の流れをまとめてみました。

※会社法では会社が解散する原因を以下のとおり定めています。
①定款で定めた存続期間の満了
②定款で定めた解散事由の発生
③株主総会の特別決議
④合併(合併により当該株式会社が消滅する場合に限る)
⑤破産手続開始の決定
⑥会社の解散命令又は会社の解散判決
⑦休眠会社のみなし解散

※本稿は平成22年度税制改正後の清算所得課税についての概要となっております。

 


※目黒川の桜並木

 

 解散〜清算結了の流れ

会社の解散から清算結了までのもっとも単純な流れは、以下のとおりとなります。

【解散】
・株主総会の解散決議
・清算人の就任
・登記(解散/清算人就任)
・解散日現在の財産目録、貸借対照表の作成
・債権申出の公告及び知れたる債権者への催告
解散事業年度にかかる確定申告《税務》

【清算】
・財産換価、債権取立、債務の弁済
清算中の各事業年度の確定申告《税務》

【残余財産の確定】
・残余財産の確定・分配
・決算報告の作成・株主総会の承認
・登記(清算結了)
残余財産確定日の属する事業年度の確定申告《税務》

※会社の取引数や規模により、処理に要する時間は異なってきます。

 

解散事業年度にかかる確定申告

会社が事業年度の中途に解散した場合は、その事業年度開始の日から解散の日までに期間を一事業年度とみなします。

その事業年度は、通常の事業年度と同様(※)の所得計算をし、その事業年度終了の日から2か月以内に法人税の確定申告書を提出するとともに、申告税額を納付する必要があります。

※解散事業年度は、税務上の特例規定(特別償却や特別控除)の一部が認められない点に留意する必要があります。

 

清算事業年度にかかる確定申告

株式会社は解散後、解散の日の翌日から始まる1年ごとの期間(清算事務年度)を一事業年度とみなされます。

その事業年度は、通常の事業年度と同様(※)の所得計算をし、その事業年度終了の日から2か月以内に法人税の確定申告書を提出するとともに、申告税額を納付する必要があります。

※清算事務年度は、税務上の特例規定(特別償却や特別控除)の一部が認められない点に留意する必要があり、また、期限切れ欠損金の損金算入制度の適用について検討する必要があります。

 

残余財産確定日の属する事業年度の確定申告

清算中の会社の残余財産が事業年度の中途において確定した場合には、その事業年度開始の日から残余財産確定の日までの期間を一事業年度とみなします。

その事業年度は、通常の事業年度と同様(※1)の所得計算をし、その残余財産確定の日から1か月以内(※2)に法人税の確定申告書を提出するとともに、申告税額(※3)を納付する必要があります。
なお、残余財産の確定の日の属する事業年度においては、確定申告書の提出期限の延長の特例は適用されません

※1 残余財産確定日の属する事業年度は、税務上の特例規定(特別償却や特別控除)の一部が認められない点に留意する必要があり、また、期限切れ欠損金の損金算入制度の適用について検討する必要があります。

※2 事業年度終了の日から1か月以内に残余財産の最後の分配が行われる場合は、その行われる日の前日まで。

※3 普通法人に適用される税率は原則として25.5%ですが、残余財産の確定の日の属する事業年度にかかる事業税の額はその事業年度の損金の額に算入することとされているので、当該事業税額の控除後の所得の金額に対して当該税率が適用されることとなります。

 

「休業する」という選択肢もある

以上のとおり、いざ会社を閉じるとなると、上記税務諸手続き、その他法務の手続きなど、かなりの時間とコストが必要となります。
参考:廃業に伴う費用の発生(中小企業庁)

将来的に事業を再開する見込みがある場合には、いったん会社を「休業する」という方法もあります。

廃業と休業には双方メリットとデメリットがあり、どちらがいいのかはケースバイケースとなりますので、将来のビジョンを見据えた細かな比較検討が必要となります。

 

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【編集後記】
今週の月曜日に開催されました、税理士会春のトーナメント3回戦で敗北し、大会4連覇の夢が途絶えました。
今回の戦いで、勝利と敗北の差は常に紙一重であることを、改めて痛感しました。

0対0で迎えた最終回、一番やってはいけない先頭打者への四球。これが今の自分の弱さであり、体力のなさの結果でした。

ただ今回の敗北は、いつもの勝利の100倍くらいチームにとって得るものがあり、そして、これからチームがもっと強くなっていくことを試合後のチームメイトを見て確信しました。

『「負けたことがことがある」というのがいつか大きな財産になる』

そう言えるように秋のトーナメントに向けて、試合の翌日からトレーニング開始です。

 

【昨日の心・技・体】
心:読書(なぜ世界は”日本化”するのか/佐藤芳直)
技:米国公認会計士の試験勉強
体:@ティップ.クロス TOKYO 渋谷
・体幹トレーニング×2セット
・ファンクショナルトレーニング(下半身)×2セット

 

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この記事を書いた人

1978年9月 茨城県水戸市生まれ、埼玉県春日部市育ち。
東京都渋谷区在住。愛犬は4歳、娘2歳。
趣味は、野球(毎週日曜日)、愛犬の散歩。

雇われない・雇わない生き方である「ひとり税理士」として活動しています。

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